徳久誠亮の「ゴルフルール解説」

“The Rules of the Golf by R & A / USGA”

 

本原稿は、広州日本商工会会報の2000年6月号~2002年3月号に連載された記事を、皆様のご要望に応じて再編集、加筆、修正したものです。

 

【序文】

・・・エチケットとマナーは規則である・・・

 

 数あるスポーツのなかで、ゴルフ競技の大きな特徴の一つは、審判員がほとんど立ち会わないということである。それは、ゴルフそのものが、「ゴルファーは皆誠実であり、故意に不正をおかす者はいない」という基本的考えの下に育まれてきたこと、またフェアプレイを重んじるスポーツであるゴルフでは、規則にも明示の規定がないような不測の事態が生じたときは、公正の理念に従って解決してきたこと、そういった歴史的風土があったからこそ可能なのである。そして、そこにゴルフ規則の本質とその立法精神とをうかがい知ることができるのである。

もちろん、規則の中に罰則の規程はあるが、これらはいずれも善意の過失によってその処置を誤ったプレーヤーに対して、競技全体の公正をはかる観点から規定されたものである。このため、ゴルファーの1人ひとりがゴルフ規則に精通して、自主的にこれを遵守することが大切である。「ゴルフは紳士のスポーツである」との英国に伝わる伝統的ことわざは、実際には紳士にあるまじきささやかなルール違反を犯すプレーヤーが多く、それらの非紳士的プレーを排除するために、また自分が非紳士的プレーの誘惑に陥らないように「ゴルフは紳士のスポーツである」と標榜することによって、自分も他人も律しようとした先人のすぐれた知恵ということが言えるであろう。

あまたの球技のなかで、その規則として、エチケットとマナーに関する規定が明記されているのはゴルフだけである。ゴルフ規則は、第1章から第3章まであって、その最初に「エチケット」がある。第2章は「用語の定義」、第3章が「プレーに関する規則」全34条である。

 

第一章 エチケット「コース上の礼儀」

 

 エチケットとは作法のことで、マナーとはエチケットにかなった行儀ということになる。他のスポーツ規則で、この事をプレーの規則より重視して第一義的に明文化しているものは他にあるまい。ゴルフ競技は、他の球技と比較して他のプレーヤーとの格闘技ではなく、むしろプレーヤー自身との精神的闘いとでも言えるもので、それでいてフェアープレイに関しては、極めて格調の高いプレーヤー精神を要求される。故にエチケットを敢えて第一章に据えて、プレーヤーのマナーを自律的にコントロールし、審判がいなくてもプレーヤー全員が安全かつ公平にプレーできるように促しているのである。

① 安全の確認

プレーヤーは、ストロークや練習スウィングをする前に、次の事をよく確かめるべきである。

イ)                           クラブが当たるような身近な所に誰も人がいないこと。

ロ)球や石、小枝などが飛んでいって当たるおそれのあるような場所に誰も人がいないこと。

② 他のプレーヤーに対する配慮

   プレーヤーが球にアドレスしたりストロークする間、他の人は動いたり、話をしたり、球やホールの近くや真後ろに立ってはならない。

③ プレーのペース

   各組とも、他のすべての人のために、プレーを遅らせないようにすべきである。球がウォーターハザードの外で紛失したり、アウトオブバウンズ(OB)のおそれがあると思った場合には、時間節約のため、暫定球(プロビジョナル・ボール)をプレーすべきである。

  《注》2000年の規則改定でこの文が追加された。

   球を探している組は、球がすぐには見つかりそうにない場合、後続の組にパスするようにすぐ合図すべきである(パスの場合は、球を5分間探した後ではなく、探す前に状況を判断して行うこと)コース上での進行が遅れて前の組との間に完全に1ホール以上の間隔を生じた組は、後続の組をパスさせるべきである。また遅滞なくプレーを続行する為に、1ホールのプレーを終わり次第、その組のプレーヤーはすぐにパッティンググリーンを離れなければならない。

  《注》グリーン上のプレーが終わっているのに、グリーン上やその周辺でおしゃべりをしながらブラブラ歩いていたり、スコアーカードをグリーン上でつけていたりするのは、後続のプレーヤーに対してマナーが悪く、エチケット上よろしくない。道義的違反行為である。パッティングを終えたプレーヤーは、次のティーグラウンドへすみやかに移動すべきであって、言い訳や自己批判はプレーが終了してからにするべきである。グリーンから次のティーへの移動こそ早歩で行うことがスロープレイの防止になる。

       コースの保護

   プレーヤーはバンカーから出る前に、そこで作ったくぼみと足跡を全部入念に直しておくべきである。また、スルーザグリーンで自分の作ったディボット(ターフ)跡やグリーン上のボールマーク(球が落下してできたグリーン面のへこみ跡)を修復すべきである。

  ゴルフ場ではとかく開放的気分になり易いが、プレーに関しては厳粛な気持ちを忘れないことが最も大切だと思う。規律あっての自由なのである。

 

第二章 用語の定義

 

 ゴルフ用語として規則が定められているのは、52語(センテンス含む)である。プレーに関する規則を正しく理解する為には、ゴルフ規則に使用される用語の意味をまず把握することが大切で、用語の真意を定義することにより規則の解釈が成立する。よく使われる用語をピックアップしてゆくことにしたい。(USGA規則のアルファベット順)

 

 1)アドレス

 プレーヤーがスタンスをとってクラブを地面につけた時に、そのプレーヤーは「球にアドレスした」という。ただし、ハザード内では、プレーヤーがスタンスをとった時に、そのプレーヤーは球にアドレスしたものとする。

 「注」a)このアドレスの時点を明確化する理由はティアップした球の場合を除いて、アドレス後に球が動くと、プレーヤーが球を動かしたものとみなされ、1罰打付加になるからである。

    b)長い草の茂っている地域では、草がクラブの重みを受け止める状態にまでクラブを持っていった時。

 a)の例・・・スルーザグリ-ンでアドレスし、ストロークする前に球が動いた場合(風によって球が動かされた時を含む)は、アドレス後に球が動いた(動かされた) 

  ことにより1罰打付加して球を元の位置にリプレースしなければならない。

 

 2)アドバイス

 プレーヤーの イ)プレー上の決断、ロ)クラブの選択、ハ)ストロークの方法に影響を与えるような助言や示唆をいう。規則や公知の事実についての情報はアドバイスではない。

「注」a)「公知の事実」とは、たとえばハザードの位置やパッティンググリーン上の旗竿の位置等をいう。自分や同伴競技者の球からグリーンまでの距離についての問答はアドバイスとなり罰対象である。

ただ、定置物(樹木、バンカー、スプリンクラー等)からグリーンまでの距離やハザードまでの距離をたずねることは公知の事実の範囲内のことで、アドバイスにあたらない。アドバイスについては、プレー規則第8条の項で詳述する。

    b)アドバイスによる違反は、アドバイスした方とそれを受けいれた方の双方に罰が付加される。例えば、自分の打順の前に打ち終わったプレーヤーに対して「何番アイアンでしたか?」と聞いて、「何番です。」といって答えた場合、この2人のプレーヤーに罰が付く。(2罰打)相手のキャディに訊ねた場合も同じである。従って、プレーが終了したホールに関して互いに使用クラブを聞き合うことは反則ではない。ちなみに、世界一反則の多いのがこのアドバイスに関することなのだそうだ。

 

3)インプレーの球(Ball in Play

 球はプレーヤーがティインググラウンド上でストロークした時にすぐに「インプレー」の球となり、その球は次の場合を除いてホールアウトするまでインプレー状態を続ける。

イ)      紛失した場合

ロ)      アウトオブバウンズ(OB)であった場合

ハ)      拾い上げられた場合

ニ)      球の取り替えが許されているかどうかにかかわらず、別の球に取り替えた場合(この場合には取り替えたその球がインプレーの球となる。)

 

 (注)インプレーの球、インプレーの状態については、ゴルフをプレーする上で最も重要なことであり、神聖なものである。“あるがままの状態でプレーせよ”の精神に通ずる。

   ハ)、ニ)についてのルール知識があるかないかは、最終的にスコアーに重大な影響をもたらす。インプレーでない球をプレーしてもその打数は意味を持たない。

 

  1996年までの規則では、紛失球、Bの球、アンプレヤブルの球、修理地、ウォーターハザードなどで規則に反して措置したものは、95年までは原則としてインプレーの球とはならず、既に「誤球」であったが、96年の改訂によりこれらの球は「インプレーの球」と規定された。罰を付加することにより、取り替えた球をプレーしても誤球とはみなされず、インプレーの球としてプレー続行できるようになった。(続行できるということは例えば紛失した球が暫定球でプレー中に発見されても、一罰打付加してプレーしている球がインプレーの球であって、発見された球は既にインプレーの球ではないのでプレーできないということ。)

 

「インプレーの球」だが「誤所からのプレー」となる場合について

 

  このケースは実に多く見受けられるので特に取り上げてみたい。

(例)打球が池に入ったものと思い込み1分間探してみたけれど見当たらない。そのプレーヤーが、ウォターハザードに入った球の処置として池の後方にドロップしてプレーしたが、後になって初めの球が池の外で見付かった。正しい措置か否か。

 

(解説)1996年規則改正により、この場合プレーヤーが球をドロップした時にその球は「インプレーの球」となり、初めの球は紛失球となる。ただし、初めの球が池に入ったという合理的な立証がある場合は、ウォターハザードの措置(規則26-1)を取ることができる。逆に初めの球が池に入ったという合理的な立証がない場合には、紛失球の措置(規則27-1)に基づいて措置しなければならない。

 

 このプレーヤーが池に入ったという合理的な立証が得られないのに、規則26-1による措置をしてプレーを続行した時は、「誤所からのプレー」に該当し、規則27-1によって、“ストロークと距離の罰”(1罰打)を課せられた上、その違反に対し更に2罰打が課せられる。もしこの違反が重大なもの(つまり前位置よりも大幅にホールに近い位置にドロップしてプレーしたとき、紛失したと思われる位置周辺からのプレー)である時は、訂正プレーをしない限り競技失格となる。訂正プレーをしても罰打は加算される。従って、打球の飛んで行った方向がフェアウェイや浅いラフで容易に球を見付けることができる位置にないと思われる場合は、直ちに暫定球を打っておくことが極めて大切な処置なのである。仮にキャディーや同伴競技者が「大丈夫でしょう」などと言っても、あくまで本人の責任において判断しなければならない。キャディの過失行為やミスジャッジメントは、最終的にプレーヤーの責任となる。

 

「インプレーの球」とは、簡単に言ってしまえば、プレー中のホールに於て競技続行中の状態にある球ということである。コンペの“特別なルール”と称して“フェアウェイのみ6インチリプレースできますヨ”というのがあるが、これなぞはゴルフにおける非常識の標本と言ってよいシロモノで、ゴルフ規則の基本中の基本を犯すものである。プレーヤーは、ひとたびインプレーとなった球に勝手に手で触れたり、拾い上げたりすることは許されず、ホールアウトするまで「あるがままの状態でプレー」しなければならない。(規則1-1、13-1)

 

 インプレーの球に触れることは、人のカミさんのケツに触わるよりも恐ろしいことなのである。

 

4)キャディ(Caddie

ゴルフのプレーに欠かせないのが“キャディ”の存在である。

キャディはもともとゴルフの発祥より200年以上も後になって(1775年)その存在が規則に明記されるようになった。キャディの語源はフランス語の“Cadet”(カデ)に依る。フランス王妃となったスコットランド貴族の女性が、自分がプレーする時に帯同した若者(フランスの貴族の子弟)を指していた。後にスコットランドにゴルフ場が増えたことにより、貧乏な家庭の子のアルバイトとして数を増やし、彼らは当然のことのようにゴルフのルールや技術を習得していったという。後々、“英国オープン”で数々の名プレーやーが輩出するが、その殆んどがキャディ出身だった。ところで、キャディの業務及びプレーとの関係については用語の定義によって次のように定められている。

 

“キャディ”とは、プレーの間プレーヤーのクラブを持ち運んだり取り扱うほか、規則に従ってプレーヤーを助ける人をいう。

 

共用のキャディは球が関連しているときは常に球の持主のキャディとみなし、キャディの持ち運んでいる携帯品はすべてそのプレーヤーの携帯品とみなす。ただし、そのキャディが他のプレーヤーの特定の指示を受けて行動していたときは、指示を与えたプレーヤーのキャディとする。(注)共用のキャディとは、1人のキャディが2人~4人のプレーヤーにつく場合の呼称。プレーヤーAがプレーに必要な指示をそのキャディに与えている時はAのキャディとみなされる。

 

携帯品に打球が当たった場合は、そのプレーヤーに罰が付く。携帯品とは、特にカート、キャディバッグなどである。例えば、ABのプレーヤーの2つのバッグをグリーンサイドに置いてあって、そのキャディは共用のキャディであった時、Aがミスショットしてその携帯品に当てたとすると、Bの携帯品が一緒であっても、それらはAの携帯品とみなされて、2罰打付加の上その球のある位置からプレーしなければならない。

 

 キャディについて注意すべきこととして、従来はグリーン上などでキャディが行なっていた「プレーヤーの許可を得てプレーの球を拾い上げることができる」という条項が、1990年の裁定集の例から削除されたことである。このことは、プレー中の球の拾い上げ(特にパッティンググリーン上で)は、プレーヤー自身が行なわなければならないということを示唆するものである。余談であるが、広州のゴルフ場では、グリーン上でキャディがボールを拾い上げて、更にマークをし、打つ番になるとそれをリプレイスし、はたまた球の位置をカップに近づけて置いたりすることが常習化しており、殆んどのプレーヤーはこのことに何ら不自然を感じないようである。至極当然の反則の習慣化といえなくもないと思う。

 

 紛失球の処置、6インチプレースOKOKパットあり、グリーン上でキャディに球を拾い上げさせること・・・・これらは全て違反行為である。これらを全部やっても平然としてスコアを数えている輩は、ゴルフ場から永久追放となっても文句が言えまい。

 

5)コース(Course

[コース]とは、プレーの許される場所の全域をいう。

 

OBOut of Boundsの略)は、コース区域外のことであり、プレー禁止区域であるから、OBとなった球がいかに良好なライでストローク可能であっても打つことはできない。ウォーターハザードは「コース」内であるから、球がいかなる状況にあっても打つことができるところが異なる。

 

「スルー・ザ・グリーン」の用語解説と多少重なる点があるので、ここで先にコースの定義と一緒に、スルー・ザ・グリーンについて説明したい。

 

「コース」はスルー・ザ・グリーンthrough the green)とすべてのハザード及び現にプレーするホールのティイング・グラウンドとパッティング・グリーンを総称するものである。狭義に解釈すると“そのホール”ということになる。広義に言えば、プレーできるゴルフ場内のすべての区域である。なかでも“スルー・ザ・グリーン”は「フェアウェイおよびラフ」「他のホールのティイング・グラウンド」「他のホールのパッティング・グリーン」を指す。「他のホール」とは、例えば隣接するホールで現に自分がプレーしていない場所のことである。「他のホール」に飛んで行って止まったところが“ティイング・グラウンド”であった場合は、そのホールで現にプレーしているプレーヤーの邪魔にならない状況で、そのままストロークできるが、「他のホールのグリーン」上に球が止まっている場合は、そのグリーン上からストロークすることを、ローカル・ルールにより禁止している場合が多い。このケースでは、無罰でグリーン外にドロップしてプレーできる。

 

ところで、“フェアウェイ”、“ラフ”という呼び方は、ゴルフ用語の定義上の区別はなく、いわゆる慣用語である。(俗称)フェアウェイもラフもブッシュも林の中もすべて「スルー・ザ・グリーン」なのである。ただし、フェアウェイを意味する規則上の言い回しは、“芝を短く刈ってある場所”という。

 

“コンペ特別規則”で、“フェアウェイのみ6インチのリプレースできます”というのは一体どういう意味なのか不明である。よくわからないが、「狂人性痴呆症身心障害者団体」コンペなのだろうか。

 

6)修理地(Ground under Repair = URとも略す)

 この定義は、読んで字のごとしであるから条文を省く。重要なことは、修理地は通常、青杭で標示されていること。

 修理地の限界は垂直に下方に及ぶが上方には及ばないこと、球が修理地内にあるか一部でも球が修理地に触れているときは、その球は修理地内の球であること。修理地内にある球はプレー禁止であること、無罰でその場所を避けてホールに近づかない所にドロップできること、などである。例外として、標示がなくても「他に移すために積み上げられた物」および「グリーンキーパーが作った穴」(コース管理上、臨時に掘り起こされた地面)は修理地として措置することができる。他に移すため一時的に積み上げられた木、枝、雑草、砂、砂利、芝片、工事中の穴、溝などは修理地であるから、球がそのような場所に止まっているときは上記のように措置することができる。

 

 まだまだ「用語の定義」が続くので、“なんだゴルフ規則ってえのはどうでもいいようなことを、ゴタゴタ、クドクドやってるだけじゃねエか”と思われる御仁もさぞかし多いことと推量できる。

 書いている方も“なんでここまで言うかなぁー?”という気分が抜けないのも確かなコトで、告白してしまえば一言で片付けて面倒臭いのである。しかし、お互いにもう少しガマンすれば、スラーッとゴルフルールを勉強して身に付けた、といった小さな満足感が全身に泌み通ってカツラからウロコが落ちたように自信に満ちあふれた紳士ゴルファーに変身すること、まず30%の確率で間違いない。貴兄がその30%の中に居るかどうかは私の知ったことではないが・・・。

 

7)ハザード(Hazards

 「ハザード」とは、バンカーウォーターハザードをいう。

 

バンカーは通常人工的にスルー・ザ・グリーンに造られた砂地のくぼみであり、ウォーターハザードは水域を指す。ハザードに入って止まっている球をプレーするには特別な制約がある。それは主にストロークをする前にクラブをハザード内の地面に触れてはいけない(砂とか水面など)。ハザード内のルース・インペディメント(例えばバンカー内の小石や落葉や小枝や蛇や毛虫など)に触れたり、取り除いてはいけない、というのがある。これに違反すると当然ペナルティを付加されるので要注意。ウォーターハザードは2つに分けられ、①普通のウォーター・ハザードと②ラテラル・ウォーターハザードである。

 

【黄杭と赤杭】

普通のウォーターハザードは黄杭、ラテラル・ウォーター・ハザードは赤杭で標示されている。球がそれらのどのウォーターハザードに入ったかによって救済措置の方法が異なるということをよく注意して記憶しておく必要がある。プロ競技でも間違って処置して敢えなく失格した例が案外多いのにおどろいた。プロといってもルールに関しては大したことがないのもいるものだ。ということはどうでもよいとして、ラテラル・ウォーター・ハザード(Lateral Water Hazard)とは何物か?普通のウォーターハザードというのは、池とか湖の一部というのが大方の形態で、このハザードに球が入ってしまった場合の処置は、そのハザード(池など)を、球が最後に横切った地点とホールを結ぶ線の後方線上に球をドロップしてプレーしなければならない。又は元の位置から打ち直す(1罰打付加)しかし、そのウォーターハザードの後方に球をドロップすることが地形的にみて不可能な場合、これをラテラル・ウォーター・ハザードと称して区別している。ティグラウンドから見てフェアウェイに沿うように流れている小川とか、細長く続く湖や池の一部のように、後方線上がどこまで行ってもウォーターハザードで、1Km戻ってもまだ水が流れているような状態では普通のウォーターハザードの処置ができない、といった場合に適用される。

 

“水域”に入った球(注:ウォーターハザードといっても、そこに黄杭ないし赤杭の標示があれば、水がない状況であってもハザード内の球である)は特殊な状態を除いて、普通は球が水中にあるので、ヘラクレスと言えどもショットすることは不可能なため、1罰打付加して救済を受けプレーを続行できることになっている。余談になるが、このルールは18世紀から19世紀の中頃迄にはなかったらしい。では、なんでこのように我々ド下手ゴルファーが日常茶飯にハマッているルール条項がなかったかというと、15

世紀以降のスコットランドのコースというのは海辺の砂地にヒースが生えているだけで、フェアウェイはいわば雑草地、林などの樹木は一本もなく、まして池などはない。たまたまクリーク(細く流れる浅瀬の川)があっても、その中に入った球(当時は今の球みたいな硬質のものではなく、ガタパチャという動物の皮に包まれた羽毛球であったため水に浮いていることが多かった)はヨタヨタと水に流されているそのタマを気合一発、そのままの状態でストロークしたのだという。19世紀末になってゴルフはアメリカで爆発的人気を博し、1日に全米で3コースづつ完成していった、というあきれ果てた時期があった頃、スコットランドとは異なる気候風土の自然の中に造成されたコースは、我々が良く知る林あり、池あり(特にアメリカ西部のコースは、フェアウェイよりも池の面積の方が多い、つまりコース全体が池又は水域でその中にフェアウェイがポッラ、ポッラと点在しているといったコース設計の異次元発想が考出されたのも砂漠地帯が多いからであろう。)、ドッグレッグあり、そしてそれらの微妙に混り合った複雑なホールレイアウトが定着して、クラブや球や携帯品も進化していった。それが又ゴルフ規則を追加せざるを得ないことになったのである。お正月気分で書いているうちに何を言うべきなのかを途中で忘れてしまった。とにかく、TV衛生中継などでコース情況が映されるのを観ればよくおわかりと思うが、全英オープン開催コース(スコットランド)は、アメリカのゴルフコースとは趣が全く異なる。

 

ところで、これだけは覚えて貰いたいということが一つ。

球が水域に向かって気持ちよく飛んで行ってくれた場合、当然1ペナの処置ということになる。この処置方法について殆どのプレーヤーが犯す誤ちは、球の水没地点の横に適当に放り投げた上、その球を手やクラブで更にコネくり回してライの良いところに直してからプレーしていることがある。新年早々なのでこのようなプレーヤーを見かけたら、間髪を入れず「バカモノッ!」とか「ブレイモノッ!!」と肛門がはりさけるほどの大きな声で怒鳴り上げてほしい。非紳士的プレーであるばかりか、重大な規則違反者なのだから・・・。

 

マナーについて “服装”

相手に敬意を払い、周囲に不快感を与えない服装こそ“作法”(マナー)の第

一と知るべし。服装は自分のために非ず、相手に対する衷心からの礼儀(エチケ

ット)なり。

 


8)紛失球(Lost Ball

 この世の中は、何事につけても「タマ」がないと不便だし、楽しくもないものである。タマは現金であったり、球技用のモノであったり、“○○タマ”であったりする。ゴルフのプレー中に自分の使用球を紛失した場合、どのような情況下において「紛失球」と認定するか、ということを規則で定義すると次の通りである。

 

次のどれかに当たる場合、球は「紛失」したものとする。

a)プレーヤーのサイドやそのキャディが球を探し始めてから5分間以内に、球が見つからないかプレーヤーが自分の球であると確認できないとき

b)初めの球を探そうとしなかった場合も含み、プレーヤーが規則により別の球をインプレーにしたとき

c)初めの球があると思われる場所かその場所よりもホールに近い地点からプレーヤーが暫定球をストロークしたとき

誤球のプレーに費やされた時間は、球を探すために許される5分間には算入しない。

b)の“球を探そうとしなかった場合”というのは、プレーヤーには自分の球を5分間捜す「権利」はあるが、義務があるわけではない、ということで打った球を探さずに放棄して「紛失球」扱いとすることを、自分の意志によって決定できるというものである。ただ、現行のゴルフ規則には「紛失球宣言」というものはない。本来は紛失球の放棄行為はプレーヤーの宣言によってなされるものではなく、あくまでもabc)の事実行為によって、他の球がインプレーになった(言い方を変えると、他の球をみずからインプレーの球にした)ときに、初めの球が紛失球となるのである。

 

 「暫定球」は、初めの球があると思われる地点を通り過ぎた場所からプレーしたときに、インプレーの球となり、初めの球は紛失球とみなされる。当然のことであるが、一度「紛失球」の措置をした球があとで発見されてもその球はインプレーの球とはならない。他人の球と同じであって、自分の球としてプレーすることはできない。

 

9)球が動く、球が動かされた(Move or Moved

 球が止まっている位置から他の位置に移動して止まったとき、その球は「動いた」ものとみなす。

球の位置の変更は、上下、左右、前後を含むものである。フェアウェイやパッティング・グリーンで球にアドレスした時、球がゆれても、その位置が移動しない場合は動いた球ではないが、強風でその球がゆれて転がった場合には、プレーヤーがストロークをしていなくてもペナルティがつき、元の位置にリプレースして打ち直さなければならない(アドレスしていない場合は該当せず、転がって止まった場所からプレーできる。)

 

10)救済のニヤレストポイント(Nearest Point of Relief

 「ニヤレストポイント」とは動かせない障害物や異常なグラウンド状態、目的外のグリーンによる障害から罰なしに救済を受ける場合の基点となる点をいう。

球をそこに移せば規則にいう障害がなくなる場所を先ず求め、その中から、球のある所よりもホールに近づかず、しかも球から最も近いコースの一点がニヤレストポイントである。

一般的に我々ヘタなゴルファーは、常に救済の恩恵に授かりながらのプレーが多いだろうから、このニヤレストポイントという概念をしっかりと頭にたたき込んでおいた方がよい。

もしこの規定に違反して、適当に根拠なく自分の打ち易い場所へドロップしてプレーを

続行した場合は、誤所からのプレーであり、さらにホールに近づいた地点からプレーし

たときには重大な違反行為となり、競技の場合、プレーを罰付加した上でやり直さなけ

れば失格となる。

 ≪救済=罰打付加≫という考えた方は、球が「あるがま々の状態でストロークすることが不可能であるが故に、自分に有利とならないよう罰を課し、プレーを続行することである。一方、無罰の救済はコース上の何かの障害物がプレーを正常に行うために防げとなっている状況下で許される。従って無罰の救済はワン・クラブレングス以内、罰打を課して自ら不利な状態を受け入れるプレーヤーには寛大に、Two Club Length以内の処置が取れるということになる。(罰打は原則として2ペナルティである)尚、規定ではこのニヤレストポイントを決定する際に次の事を注意している。

「プレーヤーは、次のストロークで使用しようとするクラブを持ってアドレスポジションをとり、スイングをしてみてニヤレストポイントを決めるべきである。」

ニヤレストポイントが決まったら、そこから1クラブレングス以内に拾い上げた球をドロップすることができる。ニヤレストポイントから1クラブレングスの距離を測定するときはどんなクラブを使用してもよい

 

マナーについて “スロープレイヤー”

決断力に欠け、自立心に乏しい人ほどプレーが遅い。

 

 

 

 

第三章 プレーに関する規則

 

今号迄に掲載されたゴルフ規則の用語は、全52語の中から適当に選択した用語だけなので、必ずしも充分に紹介できたわけではないが、あらかた日常プレーに用いられているモノと思って良いと思う。又、これらの紹介された用語を理解していればゴルフルール集を読んでも本筋を理解できる筈である。用語の第43番目“規則”のことに触れて「用語の定義」を終え、ゴルフ規則第3章「プレーに関する規則」の本題に入ることになる。

 

規則(Rule

 「規則」という用語の中には次のものを含む。

a)      ゴルフ規則

b)      ローカルルール

c)      付属規則に示すクラブと球の規格(付属規則は第3章の後に記載される)

 

“ゴルフ規則”といわれているものは、イギリスとアメリカの関係機関によって定められた伝統ある規則集を指し、これを世界共通のゴルフルールとしてゴルフに関連するすべてに適用させる、というものである。イギリスのRoyal and Ancient Golfclub of  St. AndrewsRA)及びUnited States Golf  Association (USGA)がそれである。英米以外の国に於ては、英語の翻訳が適用される。このゴルフ規則を“General Rule”(ゼネラル・ルール)と称し、コース管理者(個別のゴルフ場)又は競技委員会が、コースの実態に合わせて制定する、そのコース独自のルールを“ローカルルール(Local Rule)”と称する。このローカルルールは、どんな内容でもよいというわけではなく、ゼネラル・ルールに定められている条文とその精神に反しない範囲に限定されるものである。

 

エチケットだマナーだ、やれ用語の定義だ、とカタイ話しばっかしでそろそろアクビの二つや三つも出る頃となったので、猫にカツブシのお話しを一つ。

ゴルフの技術向上指南書の名著は、アメリカのボビー・ジョーンズ、ベン、ホーガンなどの達人・名人によって書かれているが、英国人・ヘンリー・ウェザレッドによる「パーフェクト・ゴルファー」もその代表的名著である。

彼には2人の子供がいた。ウェザレッド自身、1899年以来全英オープンで5回優勝しているところから、当時は今のタイガー・ウッズを凌ぐ程の著名プレーヤ-だっただろう。その彼が子供達にいかにしてゴルフを教えるか、苦心の未に編み出したレッスン・メソッドを知れば、百冊の他のレッスン書より我々に役に立つことと思う。以下御紹介するのは、「王者のゴルフ~知的シングルのすすめ」(夏坂 健著 幻冬舎文庫 第8章 ゴルフ上達の秘訣、教えます)から引用させて戴くことにする。

 

ウェザレッドがはじめたレッスンは、それまでの常識をひっくり返した点で革命的だった。彼は2人の子供にシャフトの短いパターを手渡して言った。「このクラブを好きに持ちなさい。そして、1時間立っていても疲れない姿勢を見つけなさい」。子供達は最初のうちこそモジモジしていたが、やがてゆったりと立てる姿勢を発見、父親は実際に1時間そのまま立たせておいた。

「今日の練習はこれでおしまい。お前たちはゴルフで一番大切なパッティングの構え方について、いま学びつつある。あしたもまた同じことをするよ」 翌日も、またその翌日も、2人の子供はパターを構えたまま1時間以上ジッと立たされていた。変わった点といえば、構えた形でスムーズに手が動くように、何百回となくストロークが命じられた。

「どこかに無理があった場合、30分はおろか10分間立つのさえ辛く感じるものだ。すべてのショットはパッティングの延長であり、基本のところで、苦痛を感じるような立ち方をしていたならば、振りが大きくなる他のショットで歪みはさらに増幅されるというのがわたしの考え方だ。ゴルフの第一歩はパッティングのアドレスから始まる。いまからでも遅くはない。いくら立っていても疲れない姿勢を見つけることがゴルファーの急務」(中略)わずか1メートルのパットが自在に打てるようになった頃合いを見計らって、ウェザレッドは距離を3メートルに広げた。「すべての基本は1メートルと同じだが、ストローク幅だけが3倍になったと考えなさい。遠くなるほどボールの行方

が気になって、打つ直前だというのに早くも視線が前方に流れやすくなる。スウィング最大の敵、ヘッドアップの始まりだ。いや、視線だけ流れることが多いので“ルックアップ”と言うべきだろう。この重大なミスは3メートルのパッティングあたりから発生しやすいが、まれに1メートルのパットでさえ頭を上げる者もいる。その防止法だが、打球音を左耳で聞き届けてから、ゆっくりと顔を上げるのがコツだ。これも練習によって容易に習得できること、3メートルで基本を学び、大きなショットでコツを生かすのが理想である」

(中略)ほとんどの人はミドルアイアンからはじめるにしても、練習時間の多くがドライバーに費やされ、これが終生変わらないのが一般のパターン。多少上手になって、ようやくアプローチの時間が増える程度だ。そのうえ、短いパットなど本気で練習することさえアホくさいことだと思っている。彼らは、だから上達しないのだ。ゴルフの本質はデリカシーにある。(中略)ところが多くのゴルファー諸氏は、長いクラブを目一杯振り回すところから始めてしまうのだ。ドライバーショットにデリカシーなどあるものか。あらん限りの腕力と体力で殴りかかるショットから入門した者に、ソフトタッチなど要求すること自体無理というもの。事実、ドライバーで、“叩く習慣を身につけた者”ほど、20ヤードのアプローチまで叩きにかかるのが普通である。こうした習慣は一朝になおるものではない。従って、長いクラブからゴルフを始めた者は、トップとザックリのくり返しに終始するだろう。すでに叩くゴルフがクセになっていたとしても、本筋に戻る道はいたって簡単。現在ドライバーに対して払っている関心の半分をパッティングに向けるだけでよい。平均スリー・パットの人間がツー・パットで回ったならば、スコアは一挙に18打も縮まるではないか。もし18打をショットで省略しようと考えるならば、これは一生の仕事になる可能性もある」。・・・「まずピンの近くから始めよ!上達の秘訣はここにしかないと信じることだ。

 

やれやれ、折角大枚6000元も払って買った新品