title2

連載第55回(2021.10掲載)

皆さん、5ヶ月ぶりに涼しい天気を迎えた広州ですが、お元気ですか。時折雨が降って気温が段々下がってきた広州の秋に、何か温かいものやピリ辛なものを食べに行きたいと思わないでしょうか。

今回は、2019年度広州でミシュラン一つ星を受賞したレストランの中で唯一の非広東料理系レストランである宋・川菜を紹介させていただきます!花椒と唐辛子がたっぷり入って、真っ赤な料理をイメージする四川料理ですが、実はすべての料理が激辛なわけではありません。四川料理へのステレオタイプが打ち破られるかも知れないご紹介ですので、お楽しみください。

紹介

宋・川菜

場所:珠江新城高徳置地冬広場4階417号

電話番号:020-8741-2345、020-8621-2345

営業時間:11:30-14:30、17:30-22:00

 

 

 

店員の後ろにつき、くねくねとした薄暗い回廊を通り抜け、店に入った。「山に小口あり、髣髴として光有るがごとし。……初めは極めて狭く、纔かに人を通ずるのみ。復た行くこと数十歩、豁然として開朗なり。」という陶淵明が描いた著名なユートピア物語『桃花源記』の断片が頭の中に浮かんできた。

紹介によると、ロビーの真ん中に置かれた巨大な生け花は節気によって年24回更新しているようである。

高層ビルが立ち並ぶ広州中心部の商業施設にある四川料理店。最も目を引くのは、デザインから竣工まで3年間を要し、約4000万元(約6億円)をかけた派手な内装だ。それはデザイナーが北宗の徽宗皇帝が描いた『瑞鶴図』からインスピレーションを得て、具現化になったものだ。

鶴の翼をイメージした装飾が施され、ガラス製の40万枚もの羽毛が見る人を魅了する。

現代的な装飾で中国伝統文化のエッセンスを表現するのがとても不思議だと感じた。

合計260席あり、7人席の円卓もあるが、ほどんどは4人席。狙っている客層の好みを考えた上、お客様が店内の雰囲気をたっぷり感じられるよう、個室は1つしか設置されていない。

客席からガラス張りの大きな厨房が見える。シェフが振り上げる中華鍋から大きな炎があがる。店内は穏やかな雰囲気が溢れている。

メニュー

蒜泥白肉 (ゆで豚のピリ辛ニンニクソースかけ)

バラ肉とラー油が絶妙に絡んで、思ったよりもしっかりとした味わい。ニンニクは適量、全然辛くない。柔らかいゆで豚が舌の上でとろける‼

夫妻肺片(牛内蔵のおつまみ)

四川料理屋で良く見かけるが、辛さが控え目で牛肉の味が広がって美味しい。ジワジワと辛さと山椒の香りが追いかけてくる。見た目よりあっさり、少し辛くてビールに合う。

鹅肝麻婆豆腐 (フォアグラ麻婆豆腐)

フォアグラと豆腐の見分けがつかないが、意外と合う。辛さとしびれの配合がちょうど良い。辛さの中に甘さを感じる。絶品‼

歌楽山辣子鶏 

唐辛子がたくさん入っているけれど、辛くない。大変香ばしくて辛さ控え目で鶏の味が良くわかる。でも、しびれる。ビールにピッタリ‼

酸菜桂花鱼 (四川漬物と白身魚の煮込み)

酸っぱさが控え目であっさりとしている。食欲をそそる。後味で残る辛さが良い。スープをたっぷり吸った白身魚は柔らかく、辛さがしっかりご飯がすすむ~

宫保虾球 (蝦の剝き身の甘辛炒め) 

蝦の剝き身の味に甘辛いソースがとても合う。甘さの味からしびれの味が追いかける。辛さを増したければ、唐辛子をひと切れ一緒に食べると良い。

一品鱼香肉丝 (魚香味の肉の細切り炒め)

代表的な四川料理で期待通りの味で、辛さもちょうど良い甘辛さ。酸味と塩味のバランスは良く、ご飯が欲しい‼

一品海鲜锅巴 (おこげの海鮮スープ煮込み)

辛い四川料理の中で、ホッとする一品だが、とても濃厚なスープでおこげとの相性がとっても良い。しびれた口の中に優しい味。非常に上品でやさしい味付け。香ばしい。魚介(アワビ、エビなど)と野菜(たけのこ、ニンジン)のうまみがスープに溶け出し、うまみを吸ったおこげは最高‼

生爆盐煎肉 (豚肉の焼き炒め)

豚肉を生のまま焼き炒めたので、しっかりとした歯ごたえである。回鍋肉を少し塩味にしたような風味でご飯が食べたくなる‼

老成都担担面 (担々麵)

〆にして、一番のしびれ。最後にガツンと四川料理の「番長」が登場‼花椒のしびれが効いていて、汗をかいた。ピーナッツの香りもパンチが効いて「うまい‼」もうお腹いっぱいなのに(笑)

红油鲜虾龙抄手 (ラー油かけの蝦ワンタン)

甘さを絡めた辛いラー油をかけたワンタン。エビ肉がたっぷり入っている。

金钩猪油渣葱油拌面 (ねぎ油麵)

最初に食べる方が良いかも。ねぎ油の香ばしさが印象的。

金桂冰糖炖雪燕 (ツバメの巣のシロップ煮)

高級食材の燕窩(つばめのす)の梨入りシロップ煮。果肉が透明になり舌触りは柔らかく優しい味。温かいまま飲んでも、冷たくして飲んでもおいしい。

原只水果雪葩 (フルーツソルベ ココナツ・パイナップル・モモ・カボチャ)

見た目はとても上品。フルーツの自然の味が濃厚で爽やかな甘さで、とてもフレッシュ‼

インタビュー

店長のAlthenさんにお話を伺いました。

Q:宋・川菜はいつオープンしましたか。シェフはどこからの方でしょうか?
A:2018年7月9日にオープンしました。弊店のシェフチームは三つあります。四川からの四川料理チーム、北京からの北京ダックチーム、そして広州地元の広東料理チームです。

Q:食材はどこから仕入れしていらっしゃいますか?
A:基本的には四川省から花椒などの特有の食材を仕入れています。物流運輸業が発達している今は、広東・四川地元の食材に限らず、メニューを開発する際にニーズに応じて、国内他省や海外の品質の優れた食材を仕入れることも時々あります。

Q:わざわざ広州で24種類の味付けが完全にそろっている四川料理レストランをオープンする理由は?
A:この十数年間、四川料理レストランの数は広東で急増していて、「しびれて激辛なのは四川料理だ」というイメージが皆様に伝えられました。しかし、すべての四川料理は決して激辛なわけではありません。24種類の味付けが存在し、そのいずれかを用いて四季折々の様々な食材を調理していく四川料理の魅力をぜひ皆様に紹介したいです。飲食業の競争が激しい広州に四川料理のハイエンドマーケットに参入したいと考えております。

Q:人気料理をご紹介いただけますか?メニューは常に更新されているのでしょうか。
A:人気料理と言えば、やはり蒜泥白肉 (ゆで豚のピリ辛ニンニクソースかけ)です。こちらのメニューは、平均18か月/回調整・更新されています。季節限定メニューは特別招聘のシェフより開発していますが、最近は新型コロナウイルス感染症の影響で、残念ながら一時停止となります。

Q:客層はどんな感じでしょうか。
A:20代~50代の中国人お客様が多いですが、広州に駐在している外国人のお客様も少なくありません。それに、弊店の内装は多くのデザイン大会で受賞しましたので、時々デザイナーや内装業界の方々に来店いただくことがあります。

Q:生爆盐煎肉 (豚肉の焼き炒め)について知りたいことがあります。見た目は回鍋肉と非常に似ていますが、やり方は回鍋肉とは異なるのでしょうか。
A:実は両方とも四川料理の家常味付け(家庭に常備されている調味料を使って作る味付け、豆板醤や唐辛子ピクルスを使ったものが多い)の代表です。相違点は豚肉にあります。回鍋肉とは違い、生爆盐煎肉は生の豚肉を使って調理します。回鍋肉より歯応えがあります。(注:回鍋肉はゆでた豚肉を使用する)

今年の9月に三度目のミシュラン一つ星を受賞した宋・川菜。味覚だけでなく、目を愉しませる不思議なレストラン。一度食べに行ってみませんか。

 

[広州日本商工会][食人も広州にあり]