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連載第56回(2022.06掲載)

モルドバ共和国をご存知の方いらっしゃいますでしょうか?

「どこの国? モルドバって聞いたこと無いわ」と答える方が多いと思います。

今回は、この西はルーマニアに、東はウクライナに国境を接する知られざる内陸国の料理を紹介させていただきます。オープンしてから僅か4年しかないレストランですが、ミシュランガイド広州2019及び2021を受賞した実力店です。ちなみに、モルドバ出身のオーナーさんは料理に腕があるから自分のモルドバ語の名前「Ganèa」と店名にしたとのことです。

紹介

Ganèa  Kitchen Fairy Tales
場所:冼村路11号保利威座大厦北タワー1階
電話番号:(020)8362-8297、181-2270-7477(英語対応可)
営業時間: 11:30-22:00
公式アカウント:


オフィスタワーの一階、ぱっとしない片隅に位置しているレストランと思われるが、中に入るとまるで別世界だと実感した。





内装は間違いなく東欧の森スタイル。手触りがザラザラとした岩壁と程よい照明は森のような静寂な雰囲気を盛り上げる。店員の紹介によると、店内の生け花や装飾は季節によって常に更新されている。

普通の西洋料理のレストランとは違い、客席からガラス張りの大きな厨房が見える。料理人チームの整然たる秩序を見せるためかと思われる。オーナーさんのこの店に対する誇りに強く心に打たれた。

ほどんど2人席と4人席で、合計20席ほど、個室なし。ウォークインは歓迎ですが、人気が高く、特に週末の夜は予約を取らないと席が確保できないらしい。



広州のレストランにあまり見かけない自家製の熟成肉も販売している。3か月に一回予約をオープンし、すぐ完売することで、当日の飛び入り注文を断念した。

モルドバのワインハウスで醸造したワインも輸入している。品質のいいワインだが、中国で知名度が高くなく、思ったより安い値段で販売している。是非お見逃しなく、飲んでみてください。



先付けのパンはサービスである。


メニュー

Zeama-Moldovan chicken soup with homemade noodles モルドバ風の鶏スープ(自家製麵付き)

鶏ベースにレモンが入って、とても爽やかな飲み心地。酸味の効いたあっさり系のスープ。上品な感じ。


Goulash beef soup with potatoes and bell peppers ハンガリー風の牛肉スープ

トマトと牛肉の旨みが混じり合って深みのある味わい。ピリ辛味で濃い風味。美味しい‼

Salmon tartare with avocado & capers サーモンのタルタル

サーモン自身の味を活かした自然な風味。アボカドと良くマッチしている。ワインにも合う味。

Foie Gras terrine with glazed apples フォアグラ

アイスクリームのような口にとろける食感。フォアグラに甘い味わいのソースが絡んで大変濃厚な味わい。

(Grass-fed) Filet mignon  フィレミニョン(グラスフェッド)

フィレ肉をミディアムレアで頂いた。ペッパーソースとの相性がとても良い。

(Grain-fed) Fillet of Ribeye steak MB3+  リブアイMB3+クラス (グレーンフェッド)

リブアイをミディアムレアで頂いた。純粋な牛肉の旨味が良く出ている。にんにくソースにマヨネーズの味がする。
日本人好みの味。

Beef Wellington, baby potatoes, asparagus & met jus ビーフ・ウェリントン

お肉の周りのパンは生地がモチモチ。牛肉と濃厚なソースがとても深い味わいを生み出している。美味しい‼

Duck dumplings モルドバ風のアヒル餃子(トウモロコシソース付き)

若干あっさり系。コーン風味のソースと鴨の肉の味が良く合う。餃子の皮は硬めで歯応えがあるが…

Wild mushrooms risotto キノコのリゾット

とても香ばしい味がしてる。キノコの風味が強く、トリュフが入っていて、匂い、味がすごく良い。

Baked eggplant,miso glaze,dill oil & herbal yogurt 焼きナス(味噌ソース、ディルオイル、ハーブヨールグト付き)

日本のナス田楽を少し薄味にした味わいで優しい後味がする。味噌(甘み)とソース(酸味)を一緒に食べると最高‼

Millefeuille with strawberry イチゴのミルフィーユ

爽やかな甘みといちごの酸味が絶妙。〆としては丁度いい。

インタビュー

オーナーのEugene(ユージン)さんは忙しいようですが、少しお話を伺いました。

Q:いつ広州にいらっしゃいましたか?そのきっかけは何でしょうか?
A:最初は商売をする関係で中国の成都、上海、青島などの都市の間を行き来していました。4年前、広州に貿易会社を経営している友達に誘われ、ここに来て事業を立ち上げました。

Q:私の知る限りでは、広州にはモルドバレストランはもちろん、東ヨーロッパ系のレストランはとても珍しいです。「Ganèa」は広州唯一のモルドバレストランでしょうか?
A:実は、「Ganèa」はモルドバ料理をやっているレストランではなく、モルドバの特徴がある西洋料理をお客様に提供しているレストランです。

Q:つまりフュージョン料理をやっているんですね。一つの例を挙げてもらえますか?
A:モルドバでは、コーン粥を主食とするのが伝統です。揚げ魚や焼き肉を食べながら、コーン粥を食べています。モルドバ人はトウモロコシを料理にするのが好きなので、弊店の「アヒル餃子」のソースは正にこのモルドバ人の好みからアイディアを得て、生み出されたスペシャル料理の一つです。

Q:メニューは常に更新されているのでしょうか。
A:ええ、それはもちろんです。特にクリスマスやバレンタインデーの時、スペシャルメニューがあります。食材の状況やお客様のご意見に応じてメニューをアレンジしています。

Q:客層はどんな感じでしょうか。
A:欧米のお客様がメインですが、最近は店を貸し切ってプロポーズや誕生日お祝い会などのイベントを行う20〜30代の中国人のお客様が多くなりました。もちろんこちらはカスタムマイズメニューとサービスを提供しています(笑)

Q:焼きナスについて知りたいことがあります。味噌ソースで焼きナスを料理していただきましたのが日本人にとってとても懐かしい味です。モルドバでは味噌を使って料理をすることが多いですか。
A:実はこれは私個人の好みです。故郷に日本人が運営する料理店で味噌入りの魚料理を食べたことあります。その経験が印象に残ったので、今は時々味噌を活用し、新メニューを開発します。

親切でおしゃべり好きなEugeneさん。暖かいサービスと常に新しいメニューを提供している「Ganèa」。一度食べに行ってみませんか。

[広州日本商工会][食人も広州にあり]