
連載第69回 (2026.03掲載)
皆さん、こんにちは。今回は1995年から創業、今年31年目を迎える客家料理のB級グルメ名店「福仙来酒家」を取材しました。何回もの移転を経ちながらも、交通便利な越秀区に位置し、今も変わらぬ人気を誇っています。
まずは客家(はっか)料理についてご紹介いたします。
客家料理とは、「客家人」と呼ばれる、もともとは中国大陸の華北地方に起源を持つ人々が、中国南部、特に広東省、江西省、福建省を中心に、そして海外各地に移住した後も、伝統的に作ってきた郷土料理を指します。
客家の人々は、歴史的な経緯から幾度にもわたる移動を繰り返してきました。その過程で、持ち運びや保存に適した食材や調理法が発展しました。そのため、客家料理には、漬物や乾物、燻製といった保存食が多く見られます。代表的な食材として、酸菜(からし菜の一種を漬けたもの)や梅菜干(酸菜を乾燥させたもの)があり、これらは様々な料理に用いられています。客家料理の特徴は、コメやサツマイモの主食と煮物や蒸し物が中心となるシンプルながらも栄養価値の高いニワトリ、アヒル、豚などの家禽や家畜、そしてタケノコ、キノコ、川魚、カエルなどの山の幸が豊富に利用されていることです。
客家料理は、労働による発汗を補うため、濃いめの味付けが好まれる傾向があり、醬油、唐辛子、ショウガなどの調味料を積極的に運用することで、独特の風味を生み出しています。一方、スープなどはあっさりとしたものも多く、バランスの取れた料理体系です。
<データ>

住所: 越秀区東風東路828号東峻広場2座 1-4F
電話番号:020-8730-1586
営業時間:9:00~14:00 17:30~21:00
アクセス方法:地下鉄1号線・5号線「楊箕」駅E1出口から徒歩5分
<紹介>
広東料理における鉄板焼きは、あらかじめ調理した食材を熱した鉄板で再度焼き上げる独特な調理法です。ジュワッと音を立てる鉄板の上で香りが立つ瞬間は、まさに食欲をそそるライブ感がします。保温性が高いだけでなく、食卓を華やかに彩る演出も魅力です。
広東の老舗料理店では鉄板メニューは定番ですが、それを看板にまで進化させたのが「福仙来」です。なんと、一般的な店の約1.5倍もある特大サイズの鉄板を使用!その圧倒的な存在感から、自らの鉄板料理を「大皿菜(中国語:大盘菜)」と名付けています。
お店は東峻広場2座の1~4階に広がります。1階は明るく開放的なロビー、2階の大広間は6人掛けの円卓が並び、近所の住民のお昼の「飲茶」でにぎわいます。

個室は3階と4階にあります。特に4階には窓付きの個室があり、ゆったりとした空間で料理を楽しめます。15人以上が座れる広い個室も完備され、多人数での集まりにもぴったりです。
<メニュー>

・イカ(ゲソ)とタコの鉄板焼き (铁板墨鱼仔拼鱿鱼)
イカとタコが香ばしく、ニンニクとショウガでのシンプルな味付けで、素材そのものの味を楽しめる。タコを食べた時に何だか日本の食べ物と感じますので安心感あり。タコがタコ焼きのタコのようでしっかり主張。お薦めの一品。

・酸菜と豚の腸の鉄板焼き (铁板酸菜大肠)
イカとタコの鉄板焼きと同様、ニンニクとショウガでの味付けで被ってはいるが、モツなど内臓が好きな日本人であれば間違いなくおいしいと思える一品。玉ねぎとの相性も抜群。ショウガが良いアクセントで豚の腸の食感とともにご飯がすすむ。ビールにも合う一品。

・エビの茶葉炒め (茶香虾)
茶葉がしっかり主張する茶葉炒め。味は多少濃い。広東料理では定番メニューだが、あまりこれといった特徴が無かったように感じる。(普通)。

・スペアリブの赤玉ねぎ焼き (红葱头焗排骨)
甘酢で和えられており、酢豚のような感じ。一緒に和えられていた里芋が甘酢と絡まって大学芋のようで絶妙、個人的には肉よりもむしろおいしく感じた。

・インゲンとナスのシソ炒め (紫苏豆角茄子)
インゲンと茄子の炒め物は定番だが、それにシソがアクセントで効いており、ちょっと新鮮な感じがした。見た目が色鮮やかで食欲をそそる。シソは主役というよりアクセント。味も美味しい。ニンニクの香りが効いて、とにかくビールが進む一品。

・肉詰め豆腐の客家風焼き (客家酿豆腐)
豆腐はまず美味しい。肉にしっかり味がついており、薄味の豆腐と一体化しているため、口の中でちょうどそれが中和され絶妙な味になっている。肉とあんのバランスが絶妙。やさしい味付けで日本人好みの一品。

・豚肉スープ (土猪肉汤)
豚肉とねぎだけのシンプルなスープだけに、豚肉の出汁がスープにしっかり出ており、美味しかった。スープが上品。豚肉の部位としてレバーも入っており、レバーが苦手な人は止めた方がいいかも。
最後に、気になる値段ですが、大皿菜という名前から高級の広東料理を想像される方がいらっしゃるかもしれません。しかし、実際はまったく逆です。鉄板焼きは高温で一気に仕上げる調理法ゆえ、高級食材よりも、素材の持ち味を活かせる日常的な食材の方が相性が良いのです。だからこそ「福仙来」は、本格的な味わいながらも驚くほどリーズナブルです。今回はサービス料を含め、一人当たり100元くらいでした。鉄板で奏でる客家の味、コスパの高い「福仙来」を食べに行ってみませんか。



