連載第62回(2024.08掲載)
皆さん、こんにちは。この度は広州駐在の日本人がよく知られている林楽路から少し入った未来社にあるビストロ「響野」に取材してきました。
この店は名前も料理も個性があります。「響」は木が燃える音だけでなく、山からインスピレーションを得た反響を意味しています。「野」は天然と自由の象徴です。店のオーナーが広東および周辺地域の山から普段あまり食べていない野菜や香辛料を網羅して、特別な料理法を使い、様々な熟成肉と組み合わせてメニューを開発しています。
<データ>
響野Rewild Restaurant
住所:天河区天寿路35号未来社
電話番号:186-0207-3071
営業時間: 11:30-14:00、17:30-22:00
アクセス方法:地下鉄3番線/APM線「林和西駅」D口から徒歩20分
<紹介>
新しいコンセプトの文化創造空間「未来社」は、移転廃校となった珠江水利委員会子弟学校の4階建て教室棟を活用して建設されました。2019年オープンしてから、各種の集会、講演などの文芸サロン活動が行われ、特に週末は賑やかです。
「響野」はこの教室棟の1階にあります。2023年9月よりオープンしたので、結構新しい店です。
店内は4人席が多く、最大70人が収容できます。内装がおしゃれで、BGMも丁度良いボリュームで流されています。
10人が座れる個室が一つあります。
お客さまに料理が出来上がっていく「ライブ感」を味わってもらうことができるオープンキッチンを設置しています。
牛肉だけでなく、魚、鴨、鶏を大きな熟成庫の中できちんと保管しています。
食材の豊富さがうかがわれます。
料理に使われている味噌などの調味料も自家製のものが多いです。
<メニュー>
・フライドポテト(スモモ・ヨーグルトソース付き)
マクドナルドのように塩を振りかけていないから、ポテト本来の旨味が味わえた。ポテトの塩とすももの甘みが子供に好まれそう。午後のお茶飲み菓子に合う。ソース無しでもOK。
・自家製ブリオッシュ(海藻バター付き)
生地に少し甘みがあって、外はサクサクしていてパンが美味しかった。甘みと軽いコクのある海藻バターに焼きたての柔らかいパンの旨みが抜群のハーモニー。ビールに合う一品。
・熟成カンパチ刺身のサラダ(カシューナッツミルク・青りんごソース)
カシューナッツの自然の甘みと柔らかい刺身の組合せで、かむと旨みが溢れる。カンパチが美味しい。リンゴの味が勝ちすぎ。もっと冷たく方が美味しいかも。
・熟成ハマチ刺身のトースト
見た目がおしゃれで女性が好きそう。男性はハマチをそのまま食べたい。
ハマチが熟成されており自然な甘さとマスタードが合う。
・牛肉タルタル
胡椒が味のアクセントになっている。ビールに合う前菜。
男性が好きな味。塩気、胡椒も丁度良い。トリュフの味が少し入っているともっと良い。
里芋のパリパリ感と生カキフライ、牛肉の旨みが見事にマッチしています。
・熟成鴨
鴨胸肉は少しスモーキーな感じで大人の味。フルーツも感じる深みのあるタレが美味。キノコも肉に合う。
タレが鴨肉の旨みを引き立てている。タレは牛肉、豚肉でも合いそう。
・ラムチョップ
羊の熟成度が素晴らしい。味付けも良い。香ばしさ(胡椒、唐辛子)の組合せで、野生的な食感がある。お薦め。
・ビーフステーキ
塩胡椒よりソースと一緒に食べる方が美味しかった。
塩、胡椒で食べる方が肉の旨みを実感できる。正に野生的な味覚、ミディアムレアの焼き具合も良い。
・ポルチーニ茸と豚の土鍋ご飯
ベーコンの味がうまく洋風に仕上げてある。茸との組み合わせが絶妙。米がカリカリしていて美味しい。お焦げのパリパリ感が日本人感覚に響く。キノコ焼き込みご飯らしさがあり、美味しい。
・黒豚ロース
すっぱくない梅と黒毛豚の柔らかさが旨みを演出。肉は柔らかくて美味しい。
豚肉自体も梅ソースも両方甘くて、パンチに欠ける。もう少し塩気があると良い。
・炭焼き野菜(野菜の中国語名:五指山)
天然のほのかな甘さをほどよい焼き加減で感じさせる。
ほどよい甘みと苦みで美味しい。香ばしい味付けが良かった。
・キンカンのムース
柑橘系の味が口に広がって、スッキリする後味。キンカンの風味が時差を経て届く。お肉料理の後にはお薦め。
・レモングラスバスク
しっとりしていて甘さも丁度いい。レモングラスとチーズのベストミックス。甘さを控えめで食が進む。
・コーンプリン
シンプルで自然なコーンの味が口の中に広がっていく。大人の味。
<未来社>
時間があればこのアートな雰囲気を漂わせる「未来社」をゆったり参観しましょう。見たり、聞いたり、感じたりするなど、まるでテーマパークのような気分で作品を味わうことができます。
インスタレーションが展示されている「未来社」に足を運び、その魅力を体感しつつ、熟成肉料理を楽しんでみては。