「広東のお土産は何がいいですか。」とよく日本の方に聞かれる。最近、自分用にもお土産用にも広東伝統の古木家具がいいかなぁと思う。
私の家には、母の家族が代々継いてきた「太師椅」と呼ばれる古木椅子がある。家にお客さんが来る度に、「この椅子は100年以上の歴史があるよ」と母が いつも誇りを持って紹介した。椅子は釘一つも使っていなく全部ほぞで接合しており一体感がある。落ち着いた灰黒色で表面は滑らか。夏に座ると涼しくて、と ても気持ちがよい。小さい時、猫とその椅子に座る(寝る)ことを争った(?)記憶がある。100年の歳月が経ってもまだ丈夫な椅子。見るたびに悠久な思い と、天国に行った母がまだ傍にいる感じをさせてくれ、目が熱くなる。
仕事の関係でよく家具と「接触」をする。どこに何を売っているか、ブランド、材質、品質、デザイン、使い勝手等のことについては、大抵のことがわかっているつもりだ。そして、知っているからこそ、古木家具の良さが肌で分かる。
あるきっかけで古木家具の商売をしているM氏と知合いになった。彼は倉庫を見せてくれた。ソファ、机、箪笥、食卓、椅子、屏風、収納…全部手作り。一つひとつ、古木の独特な木目がきれいで、木の香りが漂い、どれも手離れが惜しく「味のある家具」だった。
古木は長年環境に耐え続けた中で「材料」としての木となるので、丈夫で変形しにくい。独特な木目が美しく、使えば使うほど味が出て、魅力的な家具(飾り 品)になる。使われる塗料は自然素材の生漆で(化学成分がないもの)、最近話題の化学成分「ホルムアルデヒド」も心配ない。
中国では、明朝までは大体楡の木を代表とする軟木で家具を造ったが、明朝以降、鄭和下西洋(海上シルクロード)で、東南アジア諸国から数百年樹齢の熱帯木材を中国に持ち帰ったことがきっかけで、熱帯硬木を使うようになってきた。
古典木製家具は大きく蘇(蘇州)式、京(北京)式と広(広東)式と分かれている。広東は東南アジアに一番近いエリアで、原材料豊富かつ清朝の唯一な海外との通商地として、広東流の木製家具を造り、国内でも海外でも有名。
清朝以降、紫檀、花梨、鶏翅などの木材がほとんど採れなくなった。今はよく採れる紅木や古い楡の木などを使っている。ちなみに紅木はやすりがけ・磨くと酸っぱい匂いをするから、広東では「酸枝木」とも呼んでいる。
ヘルシーで耐久性がよく、機能的、鑑賞用としても優れる広東の特産品:古木家具。家の飾りを兼ねて、一つ買ってみたらいかがでしょうか。
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