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天国の愛を忘れずー清明節

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4月5日は清明節。その前後に広東人(広東系を含む)は「拜山」(お墓参り)の習慣がある。

皆様も気が付くでしょうか。毎年3月に入ると、各レストランやスーパーには大体入り口などの目立つ場所に「歓迎預訂祭祖金猪」のポ スターが貼り出される。「豚の丸焼きの予約をどうぞ」のことだ。伝統のお墓参りの祭る品として、豚の丸焼きはこのシーズンに大活躍の縁起物。

昔から、広東人が先祖を祭ることをとても大切な年間行事として、清明節に必ず一族を揃えて、「豚の丸焼き」などの祭る品を担いてお墓参りして、先祖を祭 り、家族の歴史を若者に語って伝承していく習慣がある。今でも、広東圏内のみならず、香港、マカオや東南アジアの広東系華僑を含み、この伝統が続いてい る。現地では、不孝な子孫にはきっと天の罰に当たり、商売を行ってもうまくいかないという考え方が人々の間に強く浸透している。
香港では清明節を法定の休みになっているし、広州でも3月、4月に「故郷に帰ってお墓参りしてくる」ことを、堂々の休みを取る理由になる訳だ。

うちの家族も、私が小学生の頃以来、4月に必ず一族を揃えて、祖父を祭った。
母は3年前の清明節直前に天国に旅立ち、昨年90歳の祖母も祖父の同じ日にその後を追いかけて行った。今の清明節は私にとって、今までと違う意味を持つようになってきた。
祖父がなくなった時はまだ小さかったので、薄い記憶しか残っていないが、母と祖母については、特に母親のことが、今までの自分の人生の一部になっているから、恐らく何時までも、忘れようとしても忘れられないだろう。

人間はある意味では悲しいものであり、人間に対しても物に対しても、失ってはじめて、その有り難さに気が付くのだ。親に対しても同じだ。普段は忙しいこ とを口実に、親の傍にいてあげる時間が指折りほど少ない。でも考えてみれば、いつかお別れの日が必ず来るから、その時にもういくら後悔しても、意味がな い。

清明節は、こんなことにならないように、人間にリマインドする意味があると私は思う。いつもお墓参りの時、いなくなった家族を偲び、生きている家族をもっと大切にしよう、と考えさせてくれるのだ。

「豚の丸焼き」は広東語では「紅皮赤壮」の意で、「先祖が子供たちの健康な体と平安を守ってくれる」意味をかけているのだ。
しかし、私は、それより、いつも白い菊の花か白い百合、又はカーネーションで、天国にいる家族に捧げ、自分の今を報告している。「家族や身の周りの人を、もっともっと大切に」と思いながら。

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