広州の結婚式

btm18
私は何回か日本人の知合いから「広州の結婚式のお祝いはどうすればいいですか」と相談を受けたことがある。
広州は、基本的に西洋の教会結婚式や日本の神前結婚式のような宗教と結ぶ結婚式があまりない。昔は結婚式の行儀が色々複雑なものがあったが、今はだんだん簡単になってきた。でも広州人と言っても、代々ここに暮らしている原住民と新移民がいるから（今は新移民の人数が多いかもしれない）、一言まとめることが至難の業。ここでお話できるのは、あくまでも私の知っている範囲のことだ。

新移民なら新郎新婦の出身地が違うケースが多くて、大体二人の故郷に帰り、披露宴を開くことが多い。それが済んだら同僚や友達に「喜糖」と言われる飴（大体ピーナツも）を配り、「結婚しました」と公表する。

両方或いは片方は広州人の場合は、結婚式（披露宴）を行い、親戚・同僚・友人を招くケースが多い。
式の前に、新郎新婦は、お付添い人として未婚の友人に「兄弟」と「姉妹」になってもらう。因みに結婚式の「兄弟」と「姉妹」になるのは一生三回までという言われがある。新郎新婦、そして「兄弟」「姉妹」との事前の綿密な打合せは結婚式が円満に進行する重要なポイント。
結婚式は一日仕事。式の当日、新郎と「兄弟」は朝一番で「花車」（花嫁を迎える車）を飾る。新婦は自分を「花嫁」姿にきれいに身を装う。お昼までに新郎は新婦を迎えに行く。昼食は大体家族や身内とする。午後少し休みの後、いよいよ本場の披露宴会場へ。
新郎新婦が会場の入り口で立ち、お客さんを迎える。お客さんはここでお祝いの「紅包」を渡す。一般的に「紅包」をもらったら「お返し」をする習慣がある。その場で返すケースと後日返すケースがある。
大体七時に、両方の親からの挨拶や新郎新婦の挨拶をした後、宴会が開始。宴会中、新郎は各テーブルに回りお客さんに「敬酒」（感謝のお酒を飲む）をする。自分が飲めない場合、「兄弟」が代わって飲むことも多い（お酒が強い兄弟を選ぶことが重要）。その後新婦はウェディングドレスからチャイナードレスに着換え、お客さんに「敬茶」（感謝のお茶を捧げる）する。このお茶は広東語で「心抱茶」（嫁のお茶）という。この時も新婦に「紅包」（小額でOK）を渡す習慣がある。
最近、披露宴の会場で新郎新婦が撮った「ウェディングドレス写真集」を飾り、その日新郎は新婦を迎えた時のDVDなどを流すことも多い。宴会に出てくる料理も皆縁起のいい名前をつけられるもので、大体「子豚の丸焼き」から始まり、デザートの「蓮子百合」糖水でしめる。因みに宴会は普通流れ解散式だ。
人情と面子を大事にする社会なので、結婚式は新郎新婦にとって皆からの祝福を受ける幸せと、きっと体の疲れも忘れられないものだろう。

最初の質問に戻るが、披露宴に招かれたら、「紅包」２個を用意してください。1個は受付に、もう1個は新婦からお茶を捧げられた時に渡してください。金額については別途ご相談を受けます。（笑）

追伸：このコラムに今回を含め18回拙文を寄稿させて頂きました。「こんな内容でいいかなぁ」といつも不安を抱きながら書きました。多くの方から「読みましたよ。「なるほど」の連発です。」と嬉しいお褒めの言葉を頂きました。今回持って一旦お別れいたします。今まで拙文を読んで頂いた皆さん、どうもありがとうございました。