朝起きて、咳をしたら、その夕食後、うちのアイさんに羅漢果を煮込んだ出汁を勧められた。
「咳をしてたから、羅漢果を買って煮込んだの。咳止めにいいよ」その暖かくて濃く甘い黒色の液体を飲んだら、不思議に咳が半分治ったような気がする。
ある同僚は故郷の肇慶から帰ってくると、いつもお土産にスープ食材の「覇王花」をくれる。お母様がご自分で植えたもので、咳き止めや痰などの治療と予防にいいという。
広州っ子の家庭では、おばあさん、お母さんは、日々季節の移り変わりや家族の健康状況に合わせ、「老火liang湯」といわれる旬のスープを作る。広州 では、嫁として「合格」といわれる主婦は、必ず漢方薬の知識を知っている。若い世代の会話では、よくこんな内容を聴く。「こんな症状では、何を食べれば治 るか、うちのお母さんに聞いてみよう」
私は、薬より食事で健康になろうという考え方に大賛成だ。
中国八大種類の料理でも、粤菜(広東料理)は一番養生を重視しているようだ。広東人は、漢方の「医食同源」説を、毎日の食事で体現している。
漢方では、特に穀類や植物を中心とした多くの食べ物は、それ自身がよい薬であり、副作用もないので、「天然の医者」であるという考えがある。さらに、人 間の五臓六腑の機能は季節の移り変わりに合わせて少しずつ変化するので、病気は治療より予防が重要であり、体を強くするためには、「薬補」(薬で予防す る)よりは「食補」の方がいいといわれる。
「食補」とは、四季の天候(冷熱湿涼)と各人の体質(寒熱虚実)に合わせて、日常の飲食を通じて、体のバランスを取り体質を強くする方法だ。
一般的に、「食補」の理論は、春去湿(春は体の湿を駆除)、夏去燥(夏は体の熱を駆除)、秋進補(秋は体のエネルギーを補充)、冬駆寒(冬は寒さを駆除)といわれる。
そして、大切なのは、自分の体質を知ることだ。でなければ「虚不受補」(虚の体質の人は、エネルギーを補充すると逆効果)になる恐れがある。
「食補」の典型的な例は、広東料理のスープだ。季節ごと旬の食材の組み合わせた、美味しく、体にいいスープが山ほどある。「飯前喝湯苗条健康」(食事の前にスープを飲むとスマートになるし健康になる)という定評もあるほどだ。
秋は、肺の養生の時期だ。辛いものや焼くものなど刺激性のある食べ物を控えめに、蜂蜜水をよく飲んで(美容を気にする女性に特にお勧め)、梨も多く食 べ、肺に潤いを与えよう。なかでも、初秋の食べ物はアッサリ系のものがいいらしい。夏に蓄積してきた体の熱や疲れを癒すためだそうだ。
漢方では「以形補形」(補いたいものを以って補う)なので、秋のスープは豚の肺を材料にするスープが多い。苦手な方もいらっしゃるだろうが、騙されたつもりで是非お試しあれ。
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